第6条 診療所活動は名古屋市立大学医学部の教育・研究と関連したものであり、診療所班員は蝶ヶ岳山域において、山岳遭難救助活動に参加する義務を負わない。
以上に記述されているように、名古屋市立大学蝶ヶ岳ボランティア診療班に参加する学生および医療スタッフは、山岳地帯での野外活動に関しては素人として自らの能力の限界を自覚する必要があります。野外救援活動は気象条件、地理条件などの厳しい自然環境の中での任務であり、トレーニングを積んだ専門家との連携が重要です。救援者側の状況判断を誤ると二重遭難の危険性があります。現地での遭難者救援活動に個人的に善意で参加することを禁止するものではありませんが、診療所を離れて野外において遭難者を救援する活動は、技術的に高い水準持つ救助隊員との連携が必要で、診療班の本務とするものではありません。ヒュッテには長野県警察(松本警察署内の山岳遭難対策協議会本部)と契約を結んだ救助隊員(酒井さん、永田さんら)が駐在しています。遭難者または遭難の目撃者からの連絡を受けた警察署は、救助隊員へ連絡し、救援を要請します。出動した救助隊員へは、後日一定の謝礼が支払われます。しかし医療スタッフが同行した場合には、救助隊員としての契約は結ばれておりませんので、直接担当した医療スタッフ個人へは謝礼は出ません。ただし長野県南部地区山岳遭難対策協議会から、蝶ヶ岳ボランティア診療所へ毎年謝金が寄せられており、これまでの実績を踏まえ組織的な医療活動を通じて山岳遭難対策に貢献することが期待されています。
作製:2007年8月15日 三浦 裕