悪天候時の危機管理体制
蝶ヶ岳ボランティア診療所班員の下山/入山予定を変更する指令系統
- インターネットと電話連絡網が使える状態:
悪天候時またはそれが予測される場合、運営委員長が行動予定の最終決定を行い、班の安全に対して最終的な責任を負う。班の行動の予定を変更するべき場合には、文書でメイリングリストを介して全員に通達する。ただし運営委員長がこの職務を遂行できない場合には、運営委員がこの職務を代行する。
- インターネットと電話連絡網が使えない状態:
現地の班長が、医師、山小屋のメンバーと協議し、班員の安全を第一に考えた判断をする。現場の判断を優先し、その結果がいかなる事態となったとしても、最終的には運営委員長が引責する。
- 行動の原則:
長野県地方と岐阜県地方に気象警報が発令中は、下山/入山などのすべての行動は中止する。台風のコースが発表されて、近日中に長野県に警報発令が予測できる状況では、下山の繰り上げ、または入山の延期を検討して判断する。名古屋市立大学蝶ヶ岳ボランティア診療所規約第7条第1項には診療班長が班員の安全な行動計画を作成する職務が記載されている。現地の班長は班員の安全を第一に考えて行動計画を変更できる職権を持ち、たとえ班員の退避によって、診療活動へ支障が出たとしても、班員の安全を優先する。
- ルート選択:
最も安全な避難ルートは「長塀尾根---徳沢---上高地ルート」である。緊急事態では徳沢まで自動車による搬送を要請することも可能である。ただし台風の直撃や、局地的な地震災害を受けた場合のルート状態は予測が難しい。できる限り目的地と連絡を取って、名古屋まで帰還できることを確認した上で行動を開始する。
夏期の三股ルートは通常の降雨中でも安全と考える。しかし、「力水」以下のルートは沢筋のため、豪雨中/後は沢が増水/崖の崩壊などの危険があるので、高巻き退避ルートを使わざるをえない可能性がある。豪雨時にやむをえず下山する場合は、三股ルートを避けて長塀尾根ルートを使って徳沢へ下山し、日大医学部徳沢診療所へ救援を求めるのが安全と思われる。ヘリコプターが飛べない気象状態でも、徳沢までは車両を使った救援活動が可能です。積雪期(5月まで)は三股ルートは頂上付近はトレースがなく安全なルート確認が難しい状態である。5月以前の積雪期に入山する場合には、積雪期の完全装備(ロングスパッツ、ピッケル、アイゼンなど)を整え訓練した上で長塀尾根ルートを優先的に選択する。
- 班員の救援活動の指揮:
班員の遭難事故が発生し、救援活動の必要な場合には、現地(松本警察署、豊科警察署など)に遭難対策本部を設置して原則として運営委員長が現場で連絡係りを勤める。同時に名古屋市立大学医学部内に遭難対策連絡所を設けて、名古屋で待機するサポートスタッフの少なくとも1名が、名古屋における責任者として問い合わせの窓口となる。
サポートスタッフ:緊急時連絡先
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2001.09.04初版、2006.05.16改訂、2013.18再改訂
文責:三浦 裕
since Aug.17, 1999